運用レポート

現地取材

【ケーススタディ】防災訓練とバルク稼働訓練、2つのポイントとは?

近年需要が高まりつつある、災害時におけるエネルギー確保と施設の維持。国から補助金の交付を得て、LPガス災害バルクを導入する施設が飛躍的に増加しています。補助金の交付を受けた施設は、LPガス災害バルクの設置後1年に1回以上、防災訓練を含めた機器の稼働訓練を行うことが取り決められています。そのため施設管理者には、防災訓練等を実行することが義務付けられているのです。

防災訓練の実施状況を調査すべく、北陸最大級の商業施設イオンモール白山を取材しました。イオンモール白山では、災害への備えの一部として、2021年にLPガス災害バルクを導入。防災訓練をはじめとする様々な災害への備えを実行しています。
イオンモール白山の災害発生を想定した活動について、イオンモール白山 ゼネラルマネージャー 小寺さんに話を伺いました。

北陸最大級の施設面積を誇る
イオンモール白山の災害対策を取材

ーイオンモール白山の特徴を教えてください

小寺さん

イオンモール白山の最大の特徴は、北陸最大級の施設面積です。
その広大な敷地を活用しインフラが機能した設備であるということを大前提とし、地域との共創共生に取り組みを大切な方針として掲げています。その中でも特に特徴的な活動は、地域の様々な学校と連携してモールを盛り上げていく産学連携事業。取り組みの中で、地域の皆様と一緒にモールの運営について考え、実行することを目指しています。

ー災害時に想定している避難人数について

小寺さん

モールの来店客数で考えると、平日で約15,000〜20,000人のお客様にご来店いただいています。ピーク時や土日、年末年始などの繁忙期につきましては約35,000人、多い時で1日50,000人のお客様がいらっしゃいます。最もお客様が多い時間帯ですと、館内に10,000人弱のお客様が滞留されます。
私たちの責務は、10,000人のお客様に対して安心安全な環境づくりを行うこと。それが大きなミッションだと考えています。また従業員登録数も、館内全体で約3,500名。ピーク時は約1,000名の従業員が館内で働いていますので、そのことも考慮して避難人数を想定しています。

ー石川県白山市との災害時の連携について

小寺さん

白山市とは、一時避難所に伴う協定を締結しています。大前提として、災害時・有事の際は一時避難所としての役割を果たす必要があります。

ーLPガス災害バルク導入の経緯について

小寺さん

大きな規模・敷地面積があるという点は、災害時においても1番のメリットになりますが、そのメリットを最大限に活かすためには、お客様が避難した際にできる限り快適な環境を作り出す必要があると考えました。災害時も快適な環境を目指すべく取り組んだのがLPガス災害バルク層の設置です。

設置することで、災害時も快適に過ごせる空調管理や電気の確保ができるようになれば、お客様のためになる。
そう考え、1日でも1秒でも早い復興活動ができる拠点を目指して導入後も防災活動に取り組んでいます。

ー施設の災害時を想定した準備について

小寺さん

災害時のマニュアルは、まずイオングループ全体の災害マニュアルがあります。それに伴ってイオンモールの災害マニュアルに加え現地ごと・環境ごと・地域特性に合わせたモールごとの災害マニュアルを作成しています。風災害マニュアル、地震災害にもスムーズに対応できるよう各種マニュアルを揃えており、それに伴って防火防災訓練を実施しています。

防火防災訓練は上半期に一度、下半期に一度の年2回、大規模な訓練を実施しています。また、年2回の訓練を補足すべく、役目に応じたミニ訓練を適時実施しています。

ー今回取材した防災訓練では、関係団体を交えた形で実施されていましたが、その形での防災訓練実施の経緯を教えてください。

小寺さん

4月に従業員を対象にした年一度のバルク貯槽の稼働訓練を行いましたが、その時に初めてバルク貯槽が稼働したのを拝見しました。実際に稼働させてみて、とてもすばらしい設備だと思ったと同時に、地域の皆様にも自信を持って紹介できる設備だと感じました。ぜひ有事の際に最大限活用できるよう、体制づくりの足掛かりとして、自治体の皆様、官公庁の皆様、インフラを賄っていただいている企業の皆様にご覧いただきたいと考えました。また、皆様にLPガス災害バルクの活用について周知いただくことが、有事の際にすばやく行動できる1番の防災対策だと思い、今回各所の皆様に集まっていただきました。
さらに、紹介するだけでなく防災訓練を実施することで、より有事の際の役割について理解を深めていただく機会になればと思いました。

LPガス災害バルク設置後、補助金の受給条件である稼働訓練をはじめとした防災訓練の実施。
1)災害を想定したマニュアルの作成
2)周辺の関係各所に対する相互理解

が重要となり、これらが災害時におけるスムーズな避難所運営につながります。

過去にLPガス災害バルクを設置した事業者様はもちろん、これから設置を検討される事業者様も、災害時における準備の徹底をお願いします。