病院
上野医院<宮崎県西都市>
宮崎県西都市にある上野病院は、地域を無医地区にしたくないとの声を受け、昭和35年に開院しました。
現在は入院設備を備える内科、人工透析内科の医院として地域医療を支えています。
台風時に停電を経験し、院内設備が使用できなかったことからLPガス災害バルクの導入を決断しました。

導入のきっかけは停電。
停電対策が必要だと痛感した。
当院は内科と人工透析内科を標榜し、地域医療を支えています。外来と人工透析の二つの部門で診療を行い、透析は23床のベッドを完備。入院設備は11床で、有床診療所という形態になります。
LPガス災害バルクを導入したきっかけは、2018年の被災でした。
台風が宮崎県に接近・上陸し、院内で停電が発生。ちょうど日曜日だったため透析への影響はありませんでしたが、入院中の患者さんが院内にいらっしゃいました。
高齢の方も入院されていたため、エアコンが使えない状態で一日を過ごすことに大きな不安を感じたことを覚えています。
また翌年も台風の影響を受け、診療の継続が危ぶまれることがありました。
そうした経験を通じて、停電対策は避けて通れないと痛感。災害時でも稼働できるよう発電設備を整える決断に至りました。

停電発生後
約50秒で電気が復旧。
導入のメリットは大きく3つあります。1つ目は、ガスの保存期間が長い点。2つ目は、稼働時の音が小さく、クリーンで環境に優しい点。そして3つ目は、停電が発生した際に1分足らずで発電機が起動する点です。
特に3つ目の「災害発生後すぐに電力を供給できる」という点に、最大の魅力を感じています。
その魅力を実感したのが、2025年5月6日に発生した停電でした。午前9時過ぎだったと記憶していますが、突然停電が発生。スタッフから「どうしましょうか」と相談の電話があったのを覚えています。しかしおよそ50秒後には電気が復旧していました。
確認すると、ガス発電機が自動で起動し、院内に電力を供給していたのです。おかげでスタッフ全員が落ち着いて職務を続けることができ、大きな混乱はありませんでした。
実は、停電中でも平時と変わらない状況だったため、いつ停電が終わったのか誰にもわかりませんでした。気づけば1日が過ぎ、通常通り診療を終えることができました。
あのとき導入を決断して本当に良かったと、強く感じた出来事でした。
補助金制度があったからこそ、導入を決断することができた。

LPガス災害バルクの導入には大きな出費を伴うため、当初は資金面で迷いがありました。
しかし病院関係については「補助率1/2で、5割の補助が可能」という補助金制度があり、これが導入の大きな後押しに。
すべてを自己資金で賄うのは難しい状況でしたが、補助金制度を活用することでLPガス発電機の導入を決断することができました。
また、発電機を使った稼働訓練については、現在計画を進めている段階です。
地域全体が停電し診療が滞るといった状況を想定し、当院で対応できる体制を整えることを目的としています。
近々、訓練を実践に移していきたいと考えています。
